経営者と会社役員の心構えについて

経営者と会社役員について、一般的な通念と、会社法上の役割についてしばしば混同されることがあります。では、経営者を含む会社役員の責務とは何でしょうか? ここでは、経営者を含む会社役員の役割と心構えについて一緒に見ていきたいと思います。

役員としての取締役とは

役員とは会社法上、次のような権限が与えられています。

(1) 会社の業務執行についての意思決定をすること (決定機能)

(2) 会社の業務執行を監督すること (監督機能)

(1) は、取締役会の過半数の賛成をもって会社の重要な業務執行を実行することであり、(2) は、業務執行の実行や、業務執行の意思決定が法律に則って正しく運用されているか、などを監督する権限のことです。

取締役・従業員の会社との契約関係

役員である取締役と、一般従業員では、会社との契約形態が根本的に異なります。従業員との間で結ばれるのは「雇用契約」ですが、これは労働契約法では「労働契約」と呼ばれ、従業員が労働力を提供し、その対価を賃金として受け取る仕組みになっています。

一方、会社と取締役との間で締結されるのは「委任契約」です。会社と取締役の関係で言えば、「取締役に会社の経営を任せること」になります。つまり、取締役の職に就くということは、会社の経営に関して、プロとしての責任を担うということなのです。

また、この委任契約には、受任者としての義務が課されており、「善良なる管理者の注意義務」(民法644条) であることが求められます。取締役は経営の専門家として、その会社の規模と業種等のもとで通常期待される注意義務をもって、職務を遂行しなければなりません。

取締役と従業員の身分保障や責任の違い

このような取締役と従業員の契約関係の違いは、身分保障や責任の幅などに表われています。

従業員の場合は、会社側から解雇するケースにおいては、「合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が法的に要求されていますが、取締役と会社との委任契約の関係においては、契約の「相互解除の自由」という原則があります。

委任契約は、相互の信頼関係を基本とする契約です。信頼が失われたときは、どちらからでも自由に解約することができるのです。会社法が、「役員はいつでも株主総会の決議によって解任することができる」と明記しているのは、その表れと言っていいでしょう。そのようなことから、取締役には、従業員のような身分保障は無いと考えなければいけません。

まとめ

役員は会社において重責を担っております。日本では、従業員から役員に昇進する例が多く、取締役を従業員の延長線上で考えてしまう傾向があります。しかし、これまで述べてきたように、従業員と取締役はまったく別のものであり、その責任も大きく異なります。

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